Spring2020_5 「人材と競争」のうち搾取に関係する部分
第3回(第2回補遺)で説明したので基本的には省略。質問等は歓迎。
具体例
芸能事務所と芸能人、スポーツチームと選手、等
人材が独禁法に違反するか
「労働者は事業者に該当しない」
労働者が事業者に該当すると労働組合活動等が独禁法に違反する可能性がある、という発想
事業者であり労働者でもあるものの出現による揺らぎ
正当化理由があるから独禁法に違反しないという整理が可能
いずれにしても、今次の社会的関心ではない。
企業が独禁法に違反するか
今次の社会的関心対象
これまで考えようとされなかっただけ。独禁法の議論としてあり得ることが普通に言われるようになっただけ。
問題の例
企業が購入カルテル(報酬協定、引抜き禁止協定、など)
企業が人材と排他的取引をして他者排除
企業が人材に不利益を与えて優越的地位濫用
相手方である人材が事業者に該当するか否かは、独禁法違反の成否には(本来は)関係がない。
消費者向け販売カルテルが違反となるのと同じ。
ところが、こちらの側面で、人材が事業者に該当するか否かが問題にされることがある。
労働基準法の適用対象(労働基準監督署の仕事)が全て回ってくる
労働基準法の保護対象(労働者)でないことを示す言い換えとして、「事業者」に該当するか否かが問題とされている。
⇔ 消費者も優越的地位濫用規制の対象
なお、人材が事業者に該当すれば、企業と人材の取引は下請法の適用対象ともなり得る。